2年前は失敗…厄介なお客様を成約に導いた営業トークの全貌│続き

前回(アプローチ編)の続きです。

この記事では2年前に失注した厄介な性格の高齢者からNET+ケータイ2回線の注文を頂いたときのエピソードを紹介しています。

2年前と比べて何が違ったのか…その差こそが重要です。

答え合わせはこの記事の「まとめ」で紹介しますので、まずはエピソードをお楽しみください。

プレゼン編│2年前に失注した厄介な高齢者のエピソード

それじゃあ新しいプランに変えましょっか!

僕「そしたら2点確認することがありまして、2点とも問題なければ手続きに入りますね。」

会社バレするので1点目は割愛します。

僕「…これが1点目でした。続いて2点目ですが、Wi-Fiをチェックさせていただきたいんですね。

今回動画配信サービスを使えるようになるのですが、こちらインターネット経由でのご提供となりますので、ネット環境が必要なんですね。Wi-Fi飛んでるとは思いますが、後で『見れないじゃないか!』というお問い合わせを防ぐためにWi-Fiの品質をチェックさせていただいてます。

差し支えなければルータを直接見せていただきたいのですが、難しければ写真でも大丈夫です。ちなみにルータはどちらのお部屋にありますか?」

営業難しいと感じる方は“現状確認”をゴールにして営業戦略を組み立てましょう。絶対売れるので!

ああ、隣の部屋にあるよ

あっそうなんですね

持ってこようか?

ありがとうございます。あの、ひょっとしてホームルータですか?例えばソフトバンクAIRとか

そうだけど

ああやっぱり!実は外から見たとき光回線が入選されてなかったので、Wi-Fiないか、あってもホームルータかなって思ってたんですよ!

僕「そしたらあんまり速度出てないんじゃないかなって思うんですけど、もしよろしければ見せていただけますか?」

あ、じゃあ私持ってくる

あ、ありがとうございます!

奥様がソファから立ち上がりました。僕とご主人は奥様が通れるように体をローテーブルに寄せて、それから奥様はふすまの奥へと消えました。

雑談で信頼残高を積む

奥様が不在の間、アプローチ段階ですっ飛ばしてしまった“雑談”をすることにしました。

雑談の目的は心の扉を開くことです。信頼されるほど提案は通りやすくなるのでやるべきです。

そういえばゴルフクラブがそこにありますけど、Tさんゴルフされてるんですか?!いつ頃からされてるんですか?!

えー、いや、どうだったかな。もう30年くらいになるんじゃないかな

え~30年ですか!それはすごいですね~!

僕「実は以前、会社の同僚と打ちっぱなし(練習場)に行ったことあるんですけど、球がどうしても右とか左にビューンって逸れてしまうんですよね。どうしたらまっすぐ飛ぶんですかね~?」

そりゃみんな通る道だね。でもやってるとだんだんまっすぐ飛ばせるようになるよ

持ってきたけど、これでしょ?

ああ、それですそれです。なるほど、「5」ですね

ソフトバンクAIR「5」。形状からすぐにわかりました。

知識はどんどん出してプロ感を演出

今ってたしか「6」が出てると思うんですけど、その案内の電話って来ましたか?

ああ、そういえば数か月前に来たと思うけど、断っちゃった

まあ、この人の性格からして断っただろうな

そうだったんですね。もしかしたらそれ、断って正解だったかもしれません

僕「というのも、これって本体価格7万とかするんですけど、6に変えるとこの5の残債がチャラになる代わりにまた7万のローンを組まされちゃうんです。そしたらまた5年とか使わないともっと快適なインターネットに変えたくても変えられなくなっちゃいます。」

さらに続けて「ホームルータは集合住宅向けで一戸建てには不向き」な理由を丁寧に説明。文章長すぎたのでカットしました。

つまり、コンセント挿すだけで使える手軽さの代わりに、広い間取りや複数人の利用には向いてないんですね?

そうだったんですね~。じゃあ(変えたら)もっと速くなるのかしら?

正直、めちゃくちゃ速くなります!

現状の「損」を数字と言葉で納得してもらう

ただ言葉だけだとアレなんで、実際に測ってみましょうか

僕「そしたら、どちらでも構いませんのでケータイを出していただけますか?」

ケータイどこだ?お前ある?

そこ(ローテーブルの上)にあるじゃない

あっありましたね。ちょっとお借りしてもよろしいですか?

ご主人のスマホを借りて「速度測定」と検索。

この測定ボタンを押せばWi-Fiの品質が数値でわかりますよ

僕「そしたらすみません、Wi-Fiの測定をしたいので、元のお部屋に戻して電源を入れていただけますか?」

ああ、じゃあ俺持ってく

今度はご主人がルータを持って隣の部屋に消えました。

すると、奥様がスッと立ち上がり、黙って僕にお茶を出してくれました。

ありがとうございます。さっそくいただきますね

氷が入っていたのでお茶だと思ったら、コーラでした。

コーラ久しぶりに飲みましたよ!やっぱりおいしいですね~!

僕「ちなみに今度から動画配信サービス見れるので映画やドラマが見放題になりますけど、奥様はどんなジャンルがお好きなんですか?」

んー、あんまり使わないかもしれないけど、車とか旅系の番組が好きですね

へー、車お好きなんですね!ちょっと意外でした

元に戻したよ

ありがとうございます。じゃあWi-Fiに繋がってるか確認しますね。よし、大丈夫ですね。じゃあ早速測定してみますね!

お二人に見えるように測定ボタンを押しました。

計測結果
  • ダウンロード:68Mbps
  • アップロード:1Mbps

68?!ていうかアップたったの1?!おっそ!!

わざと独り言っぽく驚いて見せました。奥様がクスッと笑ったのを横目で確認。

リアクションの狙いは「だから変える必要があるんですよ」というメッセージを伝えることです。

僕「うーん、やっぱり遅いですね。今って1Gという回線速度のはずなんですけど、実測値はこの通り68しか出ていません。もし仮にうちの光回線にしたら、ほとんど変わらない料金かつ同じ1Gで300~400、少なくとも200~300は出ますよ。

でも別に困ってないけどね

そうですね。困ってはいないと思います

僕「とはいえですよ? この速度だと検索やアプリのダウンロードで割と待たされると思います。例えばそれが1日1分だったとしますよね。そしたら1年で365分、つまり約6時間です。

もしそれが1日3分なら18時間。しかもこれが2人分ですから…1年でいったい何十時間無駄にしてるんだって話なんですよね。

つまり、お二人はケータイをただ操作しているだけで、時間という貴重な財産をこのWi-Fiの遅さのせいで強制的に消費させられてしまっているんですね。そう考えたらご気分いかがですか?」

ご主人は黙って聞いています。奥様は軽くうなずきながら、こちらを見ていました。

プレゼン前のテストクロージングで成約

いい感じに「変えるべき」というメッセージが伝わったので、ここでテストクロージングです。

話をまとめますね?

僕「今回プラン変更すれば料金下がりますが、Wi-Fiも変える必要があります。

まあいい機会というか、今日なら無料で交換できるのに何もしなかったら、この先ずっと変える機会ないと思うんですけど、選ぶのはTさんです。奥様はどう思われますか?」

うーん、(ネットも)変えてもらったほうがいいんじゃない?

お前がいいんだったら別に俺は構わないけどね?う~ん…変える?

私は変えた方がいいと思ったけど

そうですね~。これが品質良いけど料金上がるお話だったら今のままでもいいかなって僕も思います

僕「でも今回は品質良くなるうえに、さらに料金も少し下がります。だから変えちゃったほうがいいと思いますよ」

料金下がるのはNETではありません。「新プランで安くなるけどWi-Fiが必要」「このWi-Fiの品質だと新プランには変えられない」、だから“NETもまとめたら安くなる”というロジックです。

そうだな~。まあ別に困ってないけど、変えても困ることないんでしょ?じゃあ変えちゃうか!

そうですね。変えちゃった方がいいですよ!

僕「ただ、その場合だと1つだけ気になることがありまして、もしかしたらソフトバンクAIRとケータイが紐づいてて、ネットを切り替えると今度はケータイの料金が上がる可能性があるんですね?

My SoftBankを見ればわかるんですけど、もしよかったら見ましょうか?」

ポイントは「プレゼンしてないのにNET成約」です。次はモバイルですが、すでに「成約モード」なので会話内容は割愛します。

My SoftBankと設定アプリでわかったこと
  • YmobileのSプランだけどデータ増量や店頭サポートなどあり
  • AQUOS sense6sで新機種はsense9。古い端末と判明
  • 安いけど無駄がある+機種変してもいい頃合い

最適なプランを用意して、さらにデータ移行もお手伝いする条件で、最終的に「NETとSIM+端末セット2台分」のご注文をいただきました。

まとめ

失注してしまった2年前と比べて、今回成約に至った大きな要因は以下の3つです。

  • 夫婦揃った状態で案内できた
  • 現状確認してから提案をした
  • 現状確認するための戦略を用意していた

2年前は…

  • ご主人のみ
  • 案内の一環としてNETをまとめる提案(一方的)
  • 現状確認せず「お得」とだけ主張

これでは「売られたくない」と思われて当然ですよね。

それに奥さん抜きで申し込みすると、後で「なんでアンタ申し込んだのよ!」となるリスクもあります。

性格の厄介さにばかり気を取られていましたが、実は僕の“場を整える努力”が足りてなかったんですね。

現状確認、めっちゃ大事!

ちなみに関連記事が2つあるので、面白かった方はぜひそちらも読んでみてくださいね。

今回は以上です。

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